社長になりたい。
その言葉の本気を、試した日。
福岡のある地方都市に、新しく教室を開校することになった。
塾文化がまだ根づいていない地域で、私は教室長を任された。
新小4が重点学年。
25名ほどの担任を担当する中で、彼と出会った。
やんちゃで目立ちたがり屋。
「社長になりたい!」と目を輝かせながら話す、田舎の元気な男の子。
でも、中学受験向けの勉強にはまったくついてこれなかった。
四谷大塚の教材で、計算分野からつまずき、宿題もままならない。
そして迎えた、最初のテスト。
結果は、塾内約1000名中最下位だった。
あのときの彼の顔は、今でも忘れられない。
自分でも信じられないような表情で、うつむきながら悔しさを必死にこらえていた。
すぐにお母さんと面談を設定した。
本人は号泣しながら、自分の気持ちをうまく言葉にできず、それでも絞り出そうとしていた。
お母さんは、落ち着いた口調で、こう言った。
「先生、本当のことだけ教えてください。」
私は、自分の子供だと思って、
彼にまっすぐ伝えた。
「社長になりたいって、
本気か?口だけか?
本気なら、目の前の壁を超えてみろ。
口だけなら、
そんな大きな声で言わない方がいい。」
私は、やると言わせる誘導はしない。
やるかどうかは、自分で決めなさい。
やらないのもあり。
やる気のない塾に行くよりは、本気で遊んだり、好きなことに熱中する方が、
よっぽど人生は豊かになる。
中学受験がすべてじゃない。
ポイントは「本気出せるかどうか」
やる気は、自分で出すもの。
他人に引っ張り出してもらったやる気は、
続かない。
面談ではそれだけ話して、持ち帰ってもらった。
その日の私の授業終わり22時前、
お母さんから電話があり、本人が言いました。
「俺やりたいです。悔しいです。」
そこから、すべてが変わった。人が変わった。
授業への集中力は、見違えた。
宿題は丁寧にこなすようになり、
テスト返却日には、
**「先生、結果まだですか?」**
と真っ先に聞きに来た。
「わかる」「できる」「進んだ」
その実感が、彼を夢中にさせていった。
5年生になる頃にはクラス上位の常連に。
毎日が楽しそうで、自信にあふれていた。
入塾時は偏差値20台だった彼が、最終的には
青雲中(長崎・偏差値52)に逆転合格した。
本気の対話と環境が、子どもを変える
彼の変化に、特別な才能は必要なかった。
必要だったのは、
「悔しい」「やってやる」という本人の本音、
そして、
それを信じて支える本気の対話と環境だった。
どんな子にも**“火がつく瞬間”**はある。
それを見逃さず、言葉をかけ、
授業内容を調整し、
本人が「わかる」「できる」を実感できる流れをつくる。
中学受験で成績が伸びない男子にも、
爆発するきっかけは必ずある。
それを拾い、支えることが、
ひなたひかり塾の得意分野であり、存在価値だと思っている。
まとめ
最初の成績がどれだけ低くても、
「本人の本音」「本気の対話」「環境のチカラ」がそろえば、
中学受験で逆転合格は、決して夢じゃない。
私たちは、男子のやる気と爆発力を信じて、
今日も向き合っている。

教育と人生を、ゲームのように“攻略”する。
スパルタ野球、中学受験、迷走と挫折、そして再出発。
出会いと学びを経て、たどり着いたのが今の塾のかたち。
男子専門塾「ひなたひかり塾」代表。
15年の指導経験と、自身の“攻略”体験をもとに、
特に男子に特化した個別最適な声かけ・導きを得意としています。
塾は、ただ勉強を教える場ではなく、「人生をどう攻略するか」を学ぶ場所。
楽しみながら本気で向き合えば、子どもは必ず変わる。
スプラ・サーフィン・子育て・教育を愛する本音系先生です。
▶ ひなたひかり塾はこちら
コメント