【男子図鑑|塾長編・第1章】決別から始まった、輝きだらけの迷走

やりたいこと全部やった、誇りの10代

「自分の頭で戦う」楽しさを知った3年間

中学に入って、世界が一気に広がった。
毎日1時間半の通学すら、新しい出会いの舞台だった。

宿題も強制もない。
でも年に5回の定期テスト、みんなプライドを賭けて本気で戦ってた。
ガリ勉なんかいない。
学ぶときは真剣に、遊ぶときは思いっきり。
その空気が心地よかった。

サッカー部では毎日、夢中でボールを追ってた。
朝も放課後も、グラウンドにはいつも仲間の声が響いてた。
朝焼け、グラウンドの感触、日没の寂しさ――
全部が青春だった。

中1のとき、英語の提出物を答え写してたら、友達に言われた。

「意味ないやん。もったいない。」

グサッときた。でも、妙に納得した。
“学ぶ”って、こういうことなのかもしれない。

成績も悪くなかった。150人中30番くらい。
自分なりに誇れる立ち位置だった。

だけど中3の秋、突然その空気が変わる。
初めて親父と真正面からぶつかったあの日から、
レールは一気に外れていった。


「あの日、親父との時間が止まった」

中3の秋。
俺の中では、何かがうずいてた。
思春期特有のモヤモヤ、反発心、よくわからないエネルギー。
そんなタイミングで、テストの結果について親父に言われた。

カチンときた。
「うるせぇ」って、はじめて言い返した。

親父は一瞬でキレた。
怒鳴り声とともに、金属バットを持って追いかけてきた。
2階の自室に逃げたら、親父はドアの前でバットを振り上げていた。
姉と母が泣きながら止めに入っていた。
俺はドア越しに「うるせえよ!」って叫び返してた。

そこから先の記憶は、あまりない。
ただ、あの日を境に、親父との時間は完全に止まった。
会話も、干渉も、なにもなくなった。
親父は家を空けがちになり、
裕福だった生活も静かに終わりを迎えた。

引っ越して、母と姉と3人の暮らしになった。
なんとなく「家が静かになったな」と思った。
同時に「これで自由だ」とも思った。

でもその“自由”の意味は、まだよくわかってなかった。


決別からの迷走、そして青春という冒険へ

中学までの反動か、自由を手にした高校時代は、まさに“爆発”だった。

放課後は天神へ直行。初めての彼女、初めてのオシャレ。
知らない街、知らない人、知らない夜。
毎日が発見で、毎日がドラマだった。

勉強なんて頭になかった。
でも、夢中になることはあった。
サッカー、友達、彼女、遊び。

警固公園が溜まり場。朝帰りも珍しくなかった。
いい子じゃなかったけど、全力だった。
10代でやりたいこと、全部やった。
そして、めちゃくちゃ迷惑もかけた。

でも、あの時間があったから、今の“自分”がある。


そして高校卒業。
何も考えず浪人生になった、その春。

人生を大きく動かす出来事が起きる。

▶ 第三章へつづく

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